住宅用太陽光発電を廃棄する費用はいくら?廃棄はもったいないケースも!
太陽光発電を導入する際には、廃棄するときのことまで考慮に入れておくことが大切です。太陽光発電に欠かせない太陽光パネルは、基本的に「産業廃棄物」として分類されるため、とくに注意が必要です。この記事では、太陽光発電の廃棄費用などについてご説明します。
太陽光発電の「廃棄」ってなに?
まず、太陽光発電の「廃棄」が指す内容を解説いたします。
太陽光発電の廃棄物は主に太陽光パネル
太陽光発電が不要となった場合、また、故障により使用を継続することが困難となった場合に、太陽光発電を廃棄することになります。太陽光発電の廃棄物は、主に太陽光パネルです。しかし、他にもパワーコンディショナーや、架台、モニター、メーター、接続機器などの設備機器もすべて廃棄する必要があります。
太陽光発電システムを廃棄処分するときの部類
廃棄処分するものは、産業廃棄物と一般廃棄物に分けられます。太陽光発電システムは以下のように廃棄物としての分類が異なります。
- 屋根に設置されている太陽光パネル:産業廃棄物
- 屋根から落下した太陽光パネル:一般廃棄物
- 太陽光パネル以外の設備機器:一般廃棄物
太陽光パネルには有害物質である鉛やカドミウム、セレンなどが含まれていることがあるため、産業廃棄物に分類されます。ただし、台風などで落下した場合は一般廃棄物として扱われます。
太陽光パネルの廃棄処分費用の目安
太陽光パネルの廃棄処分する際には、主に以下の2つの作業に分けられます。
- 屋根から太陽光パネルを取り外し、設備機器を撤去する
- 太陽光パネルを運搬し、処分する
たとえば、太陽光パネル20枚の場合は、以下の処分費用が目安です。
●太陽光パネル20枚の廃棄費用
- 撤去と回収作業:約15万円
- 落下した太陽光パネルの回収のみ:約5万円
- 屋根部分の補修:数万円~約30万円
※屋根の補修費用は、太陽光パネルを撤去した後も同じ家に住み続ける場合に必要です。
廃棄費用積立制度は産業用太陽光発電のみ!
2022年4月の再エネ特措法の改正により、2022年7月から太陽光発電の「廃棄費用積立制度」が始まります。「廃棄費用積立制度」とは、将来的に太陽光発電システムを廃棄・撤去するための費用を積み立てることが義務付けられる制度のことを指します。
ただし、この制度の対象となるのは「10kw以上のFIT認定を受けた発電所(いわゆる産業用太陽光発電)」とされており、住宅用太陽光発電は対象に含まれません。
廃棄費用の積み立てが義務となると、重荷になる場合もありますが、住宅用の太陽光発電は現時点ではこの心配は不要です。
太陽光発電の「廃棄」が必要になる3つのパターン
ここでは、太陽光発電を廃棄が必要になる3つのパターンをご紹介します。
家の解体や建て替え・引っ越しする場合
一般的には、家を解体して建て替える際に、太陽光発電を廃棄することが多いです。その場合は、家の解体業者が撤去と回収も任せられる可能性が高いです。念のため、業者に解体の相談をする際に、太陽光発電システムについても一緒に話し、廃棄に関わる作業を依頼しておくことが大切です。
台風などで太陽光パネルが落下・破損した場合
屋根に設置されている太陽光パネルは「産業廃棄物」ですが、落下して破損した太陽光パネルは「一般廃棄物」に分類されます。処分方法は各自治体によって異なるため、窓口で相談してみましょう。太陽光パネルは個人で粗大ごみとして出すことはできないため、実際は専門業者に依頼することが多いです。
太陽光パネルが寿命を迎えた場合
太陽光パネルが老朽化し、寿命を迎えた場合は、製品の販売店や施工店が撤去と回収をおこないます。もし太陽光パネルが寿命の前に故障し、その原因が初期不良などであった場合、費用負担が免除されることもあります。
ちょっとまって! 「廃棄」がもったいないケースも
「太陽光発電を廃棄したい」と考えたとしても、廃棄するともったいない場合もあります。ここでは、廃棄以外の方法を検討することがおすすめのケースをご紹介します。
故障した部分が保証範囲内の場合
もし太陽光発電システムの故障が、メーカーによる不備や初期不良などの保障範囲内だった場合、無償交換が可能なこともあります。故障の原因を個人で調べるのは難しいため、廃棄する前に、まずはメーカーや設置業者に問い合わせてみましょう。
パワコンのみ故障した場合
太陽光発電に欠かせないパワーコンディショナー(パワコン)の寿命はおよそ10年から15年であることが多いです。それに対して、太陽光パネルは20年から30年ほど使用し続けることが可能です。そのため、太陽光パネルに問題はなく、パワコンのみ故障するケースもあります。
パワコンだけの交換であれば、工事費込みで30万円から40万円程度の費用が目安です。2022年6月現在、電気料金は大幅な上昇を続けているため、たとえ売電をしなくても、発電した電気を家庭で消費する「自家消費」をすることに大きなメリットがあります。
「自家消費型」の住宅用太陽光発電については、以下の記事をご覧ください。
>>「自家消費型」住宅用太陽光発電とは?メリット・デメリットを解説
固定価格買取制度(FIT)が切れた場合
10年間固定の価格で電気を買い取ってくれる「固定価格買取制度」(FIT)の期限が切れた場合、それまでと同じ価格では売電できなくなります。太陽光売電の11年目以降は「卒FIT」とも呼ばれ、それをきっかけに太陽光発電の廃棄を検討するかもしれません。しかし、太陽光発電システムは卒FIT後も使用し続けることが可能なため、廃棄するのはもったいないと言えるでしょう。
卒FIT後は、主に以下の選択肢があります。
- 売電価格は下がるが、売電を続ける
- 蓄電池を設置して、電気を全量自家消費する
- 追加の設備は設置せず、太陽光発電ができる時間帯だけ自家消費する
どれもそれぞれ特徴が異なるため、よく検討したうえで方針を定めるのがおすすめです。
卒FIT後の選択肢について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>住宅用太陽光売電の11年目以降も売電できる?卒FIT後の選択肢を解説
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